国語科の「THE KING」あらかわです。この校舎ブログでは私が面白いと思った小説や作家をいろいろと紹介し、能書きを垂れたいと思います。
今回はみんな大好き、本を読まない人でも名前くらいは知っている東野圭吾について(書き始めたら思いのほか長くなってしまったので、2回に分けて)綴ってみようと思う。
日本小説界に燦然と輝く存在である東野圭吾。彼をなくして日本の小説は語れないレベルで彼の存在は大きい。彼が作品を発表することで、ファンはもちろん喜ぶし、映像化しやすい原作を手にできる映画の配給会社も喜ぶ。出版社はドル箱スターの仕事だから当然ニンマリだし、もっと言えば出版社が儲けることで、未だ見ぬ未知なる才能の発掘にお金を使うことができるのだ。
東野圭吾はある程度小説を読み慣れてくると、少々物足りなくなる部分はあるし「地雷作品」もそれなりにあるのだが、それでも小説界を支えていることは間違いない。小説好きであれば感謝しなければならない存在なのだ。ありがとう、東野圭吾。これからも最高の小説をよろしく頼む。
ということで、東野圭吾の著作はすべて読破済みの私がオススメする必読の作品を厳選させてもらった。ぜひ参考にされたし。
『秘密』
超東野圭吾。この作品は読んだ誰もが悶絶する名作である。東野圭吾と言えば『秘密』。『秘密』と言えば東野圭吾である。切っても切れないのだ。こういった設定の先駆けと言えるので、もしかしたら「ありきたりな設定だな」と思われがちだが、甘い。その考えは甘すぎる。人格が入れ替わるなんていうありきたりな設定も、作家自身がここまで真剣に向き合うと、こんなにも残酷で胸を打つ物語に昇華してしまうのだ。いち小説好きとしてこの仕事を成し遂げた東野圭吾に拍手を贈りたい。中途半端な覚悟であればもっと逃げようがあったと思う。彼の仕事ぶりを堪能できる最高傑作である。
『白夜行』
この作品を紹介するのは難しい。「ノワール小説」だし、高校生には・・・・とも思うし、本気で紹介しようとするとかなりマニアックな説明になってしまう。なのでここはあえて簡単に勧めたいと思う。面白いから(大人になったら)読んでくれ。分かりやすく盛り上がるような作品ではない。じわじわと、そしてクラクラとするような愉しさがある作品なのだ。「文章に酔う」という体験をしてみてほしい。
『白夜行』は「つかもうとする人たち」が主要キャラクターとして配置されている。その一人ひとりが、今の自分が持っていない何かをつかもうともがいており、その姿は三者三様。だからこそ、ドラマと成り得る。そして読者もまた、非常につかみ所のない『白夜行』という作品を読みながら、それでも何かをつかまえようとしてしまう。人は物語に意味を、答えを求めるようにできているからだ。
900ページに及ぶ一大叙事詩。つかもうとする人々が、もがいた先に手にするものは何か。そしてそんな彼らを見ながら私たち読者が『白夜行』からつかみ取るものは何か。『白夜行』という意味深なタイトルの意味は。すべては本書の中にある。
次点
『ナミヤ雑貨店の奇跡』
数あるファンタジー系の作品群の中でも秀逸なハートウォーミング小説。詳しく書くとネタバレしてしまうので書けないが、泣いた。映画は○○だったが。
『幻夜』(←『白夜行』の続編的な作品だが、未読でも楽しめる。『白夜行』より好きかも)
面白いから(大人になったら)読んでくれ。分かりやすく盛り上がるような作品ではない。じわじわと、そしてクラクラとするような愉しさがある作品である。←2回目。
『聖女の救済』(←久々に震えた作品。やっぱ天才だわ、東野圭吾)
完全犯罪を創造する時、人はどのような顔をするのだろうか。装丁のパッチワークの一針一針がもはや恐ろしい。「ガリレオ」シリーズの最高傑作である。
とまぁ、前置きはこれくらいにしてここからが本題である。が、前置きが長くなりすぎてしまったので、本題は次回へと続きます。
最近読んだナイスな一冊 『始まりの木』夏川草介
大学で文化系の専攻をしようという学生にオススメの一冊です。学生の頃を思い出し、机上の理論ではなく、フィールドワークの重要性を再確認させられました。