こんにちは、すけ(佐野)です。
さて、題名にも書いた「日本語の美しさ」についてです。
「理科の教師じゃないのか」というツッコミはなしでお願いします。日本語が好きなんです。
大学生になったころくらいからでしょうか。日本語の表現の豊富さに興味をもつようになりました。
1つのことをあらゆる言葉で形容できたり、オノマトペによって表現に幅を持たせたり…
語彙が増えるだけで世界がカラフルになるんですよね。
文章の書き方だけでも情景を表せるので、本当に不思議です。
以下に、特に自分が感銘を受けた文章があるのでそれを紹介したいと思います。
それは蜜柑(芥川龍之介著)です。
ここからはネタバレ含むので、まずは青空文庫にあるので是非読んでください。
授業の時に軽くこの話をしたら、何人か知っている人がいました。読んだことがある人も。皆さんの知的好奇心の強さ(あるいは教養の深さ)には驚きました。
3400文字程度なので10分程度、ゆっくり読んでも15分程度で読めます。
※ちなみに以下は文学素人が感想を書いているだけなのでお手柔らかにお願いします。
さて、内容についてです。この話で注目したのは「対照性」です。
まず主人公について。主人公は頭の中に”疲労と倦怠”があり、”夕刊を出して見ようと云ふ元気さへ起らなかつた”ほどでした。”雪曇りの空のやうなどんよりした影を落してゐた”と形容しており、「灰色」の印象を強く読者に与えています。
また、”とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はゐなかつた”上に、”今日は珍しく見送りの人影さへ跡を絶つて、唯、檻に入れられた小犬が一匹、時々悲しさうに、吠え立ててゐた”と、不気味なくらいに静かな印象を与えています。
それに対照的なのが汽車が出発するときに、”けたたましい日和下駄の音”を鳴らしながら乗り込んできた小娘です。
彼女は”銀杏返し”に結って、”両頬を気持の悪い程赤く火照らせ”て、”垢じみた萌黄色の毛糸の襟巻”を持っており、”三等の赤切符”が手に握られていました。
何もかもに色がついていて、主人公は彼女のことを
”私はこの小娘の下品な顔だちを好まなかつた。それから彼女の服装が不潔なのもやはり不快だつた。最後にその二等と三等との区別さへも弁へない愚鈍な心が腹立たしかつた。”
とこれでもかというくらい罵っています。
しかし、少女が窓から投げた”蜜柑”がきっかけで主人公の気持ちがまったく正反対になります。
無色(グレー)で静寂だった主人公が、鮮やかな色彩でけたたましい音の小娘によって心情を変えられてしまう。とても美しい文章でした。
引用:芥川龍之介 蜜柑(青空文庫)
もし読んでないけどここまで来た人は、ぜひ一読してみて、「どのように主人公の気持ちが変わったのか」を自分の目で確かめて下さい。
蜜柑は、比喩表現やオノマトペ、文書の書き方で心情や情景を表すなど、日本語の美しさがこれでもかと詰め込まれている文章だと感じます。
皆さんもぜひ、日本語の美しさに触れる機会を意識的に作っていってほしいと思います。
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