総合型選抜・AO入試・推薦入試の穴

英語科加藤です。

いよいよ今週から定期試験が始まりましたね。今日も多くの生徒さんが自習室を利用して熱心に勉強しています。

さて、今日は日経新聞で読んだ記事についてお話しします。定期試験や受験勉強ともつながる話ですので、休憩がてらに読んでもらえたらと思います。

大学入試の選抜方法が多様化しているのはガイダンスなどでもお話ししましたので、皆さんもご存知かと思います。
「AO」「総合型選抜」「指定校推薦」「自己推薦」、さらには一般入試でも「全学部統一」をはじめ実に様々な形式が用意されています。選抜方法を工夫すること自体は本質的には優秀な人材を採用するうえで非常に重要なことですので、こういった風潮は決して悪いことだは思いません。

実際、慶應や早稲田などのいわゆる難関大学では推薦やAOで入ってきた学生の方が、一般入試で入学した学生よりも大学での成績が良いというデータもあり、選抜方法の改革で一定の成果が得られているところもあります。

しかし、こういった制度を「利用」する人が出てきますよね。
以前から大学生の学力低下は指摘されてはいたことですが、ベネッセの調査(16年)によると大学生の35%がそれを埋め合わすための補習を経験している、とのことです。
「35%」となると1/3以上ですから、なかなかの数ですよね。

「推薦があるから」と学校の定期試験対策、悪く言えば「直前の詰め込み」に明け暮れ、知識が全然定着していない生徒さんがいます。これを「楽な方法」とは言いませんが、やはり学びの本質とも言える「知識の定着」を蔑ろにしてしまうと、結局どこかでその穴を埋めることが必要になってくるんですね。

そんなうまい話ってのはないんですよ。

大学に留まらず企業でも、新人に本来大学で学んでいるはずの基礎知識を再教育する「学び直し教育」が実施されているとのことです。

もちろん大学に進んだのちに必要な科目とそうでない科目、就職したのちに必要な知識とそうでない知識というのはあるでしょう。全部を完璧にしろとまでは言いませんが、やっぱり「数学がさっぱりなのに経済学部!」とかってのは違いますよね。早稲田の政治経済学部は共テの数学を必修科目としました。そういうところにも大学の教育に対する本気度が見て取れますよね。

ということで、まだ間に合います。高校での勉強は大学に入るためのものではありません。入ってから必要な知識が求められている、さらには会社に入ってから求められるものだと思って、付け焼刃の勉強は止め、知識を身に付ける・定着させることを前提に学習を進めていきましょう。