いまはなき天才ギター演奏者ナルシソ・イエペスから声をかけられた日本の少年天才ギター演奏者荘村さんはスペインのイエペスのもとで16歳から20歳まで師従したといいます。イエペス先生は「こんな引き方をみつけたよ。」「こんな楽しい引き方があるよ。」というだけで、どの弟子たちにも声を荒げて教え込むというようなことはなかったそうです。
日本にもどった荘村さんはコンサート数千人も呼べるほどになりました。10年ほどして再びイエペス先生に会いに行きました。先生のおかげもあり向上した自分をみせたかもしれません。しかし、そこで、荘村さんが見たのはもっとずーと先にいているイエペス先生の姿でした。イエペス先生もそう感じた荘村さんもとても素敵な人たちです。声を荒げたりせず、無理に強要せず、ああしろ、こうしろとうるさく言わず、ただひたすら自分が楽しんでギター演奏に打ち込んでいる姿を見せる。教えるということを考える上でとても大事なことがあるようです。
僕は高校の数学を教えるということをしていますが、問題を解くうえで自分より優れているなと思う生徒にたくさん出会っています。自分のような数学の才能もないものですがほんの少しある経験で教壇に立っています。僕の理想も数学の楽しさをイエペス先生のように伝えられたらと思っています。 (岡田)