【高等部 中島校】SCIENCE IS ELEGANT Vol.肥料

19世紀の初めまでは、植物の生育には有機物の腐敗によって生じる腐植質が必要であると考えられていた。これに対してドイツの科学者リービッヒは、植物の生育にはリンやカリウムなどの鉱物質が必要であると主張した。さらに、植物の生育に必要な元素はその最小量が決まっていて、その必要元素の最小量によって植物の生育は支配されていると述べた。これを「リービッヒの最小律」という。

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植物の生育には17種類の元素が必要であると言われています。このうち、炭素・酸素・水素は水や二酸化炭素から取り入れられていますが、そのほかの元素はすべて土壌から吸収されています。植物が成長するときに吸収した元素は、植物が枯れるとまた土壌に戻っていきますが、農業では作物を収穫してしまうため、土壌から植物の生育に必要な元素はどんどんと減少してしまう。そのため、外部から不足した分を補充しないと作物の生育は望めない。このように、植物の生育を促すために土壌に加える物質を「肥料」と言います。

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肥料には、自然界にある動植物の遺骸や排泄物などを利用した「天然肥料」と、科学的に合成された「化学肥料」とがあります。天然肥料は以下のようなものがあります

緑肥:レンゲなどの青草を土壌中に埋めて腐らせたもの

堆肥:わら・落ち葉などを積み重なって腐らせたもの

厩肥:家畜の糞尿と敷きわらを一緒に腐らせたもの

油粕:菜種・大豆などの種子から油を搾った後の搾りかす

骨粉:動物の骨を砕いたもの

天然肥料は土壌中の微生物によって分解されてから植物に吸収されるので遅効性の肥料と言えます。それに対し化学肥料は微生物による分解を経ずに植物が収集することができるので即効性の肥料となります。

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肥料に関しては現在でも様々な研究が行われています。特に、肥料による環境負荷の低減、肥料の安定供給、食料自給率の向上といった課題に貢献することが期待されています。肥料は食を担うベースになるものですので、興味のある方はぜひその道に進んでみてはいかがでしょうか。

SCIENCE IS ELEGANT SCIENCEは日常の中に…

文理学院中島校高等部理系担当 伴野

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