こんにちは、中島校の小倉です。
このあいだ、芝川の図書館でいろいろな本を読んでいた時に「初心忘るべからず」という言葉が目に入ってきました。能を大成した世阿弥の言葉です。
「初心忘るべからず」は、ふつう「何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならない」という意味で使いますが、世阿弥が説明している意味は、ずいぶん違っています。
世阿弥がいっている「初心」は「初心者」の初心のこと。つまり、まだ未熟な状態のことです。「なにかを始めたときの下手だった記憶や、そのときに味わったくやしい気持ちや恥ずかしさ、そこから今にいたるまでのたくさんの努力を忘れてはダメですよ」という意味です。さらに世阿弥は、過去の未熟な状態だけを思うのではなく、今の自分も「未熟」な状態であると自覚しなさいともいっています。
世阿弥の『風姿花伝』には「却来(きゃくらい)」という言葉もあります。ある境地に達した者が、再び原点へ還ること。しかし、それは何も知らなかったころの単純さとは違います。
経験を積み、余計なものを削ぎ落とした先にあるシンプルさです。
勉強も同じです。
学べば学ぶほど知識は増え、区別できるようになります。でも最後は、それぞれの知識のつながりを見つけ、一つにまとめていく。夏休みは、まさにそんな「却来」の季節。
これまで習ったことをもう一度見直し、できなかった問題に再挑戦する。すると、一年前にはわからなかったことが理解できるようになっていたりします。同じ教材を見ているのに、見える景色が違う。それは、一年前の自分より成長した証拠です。
初心を忘れず、原点に還る。
そんな夏にしてほしいと思います。
実感がないなら、一年前の教材を開いてみてください。
「こんなのもできなかったのか」と、過去の自分に軽くマウントを取れるくらいには、きっと成長しています。
そして、この夏。
もう一段成長するための「却来」を、文理の夏期講習で一緒に迎えましょう。